広島高等裁判所 昭和26年(う)1177号 判決
本件酒税法違反事件につき公訴の適法条件である収税官吏の適法な告発の有無につき調査するに記録に綴つてある大蔵事務官有地一心の告発書には被告発人の住所氏名及罰条の記載はあるが犯罪事実については記載がない。ところで国税犯則取締法に定める告発については犯罪事実の具体的な明示を要するものと解すべきであるから原審が事件につき漫然適法な告発があつたものとして公訴を受理したのは違法である。この点論旨は理由があり原判決は破棄を免れない。しかし前記告発書を精査するに契印の一半が看取されるのであつて或は犯罪事実を記載した書面が添付せられ告発書の一部を為していたのかも知れないとの疑がある。従つて直ちに本件告発を不適法と断ずるのは早計であつて更にこの点の審理を尽す必要がある。